【機械加工で使う測定具のまとめ】知っておきたい種類を説明

機械加工

機械加工をするうえで測定は大切な作業の一つです。工作機械がいかに高精度でも正しく測定されていない品物は不良品になってしまいます。正しく測定するためには目的の精度に応じた測定具を使う必要があります。

そこで今回は機械加工で使う測定具について説明したいと思います。
最後まで読んでいただくと機械加工で使う測定具の種類と用途が理解できます。

機械加工でよく使う測定具 4選

  • ノギス
  • マイクロメータ
  • ダイアルゲージ
  • ブロックゲージ

ザックリ挙げるとこの4つです。

ノギス

ノギスは外側、内側、段差や深さなど様々な測定ができます。本体はスライドする構造なので素早く測定できます。最小の目盛りは0.05㎜が一般的ですが、誤差が生じやすいので、0.1㎜単位の測定に適しています。
ノギスの測定値の読み取りはデジタル表示タイプや、ダイヤル表示タイプもありますが、昔ながらの「バーニヤ」を読み取るタイプが一般的です。

マイクロメータ

マイクロメータは精密なねじを回して正確な測定ができます用途に応じて多くの種類があります。最小目盛りは0.01mmが一般的です

正確な測定ができますが、測定範囲は25mmしかありません。例えば0~50mmの測定をするためには0~25mm、25~50mmの2つのマイクロメータが必要になります。
精密測定具なので熱膨張を考慮して、熱が伝わらないよう取り扱う必要があります。

ノギス同様、測定値をデジタルで表示するタイプもあります。

ダイヤルゲージ

ダイヤルゲージは直線方向を正確に測定できます。測定子のついたスピンドルにラックとピニオンで直線距離を回転に変換して針に伝えダイヤルで読み取ります。測定値をデジタルで表示するタイプもあります。最小単位、測定範囲は多様な種類がありまが、私が普段使っている標準的なもので最小単位0.01mmで測定範囲は10mmです。機械加工の際、ワークの取り付けで平行、平面の測定でよく使います。

ブロックゲージ

ブロックゲージは精密に加工されたブロックで、他の測定具の校正や、機械部品の測定に使われます。6面体のブロックで、測定の方法は最小限の数のブロックを重ねて目的の大きさにして、他の測定具の基準にしたり、溝に入るか入らないかチェックに使います。

ブロックゲージの標準的なセットには112個組、103個組、76個組などがあり、多いほど測定時のブロック数を少なくでき誤差を抑えることができます。ブロックの材質は鋼、セラミックスがあります。ブロックゲージの等級があり、精度によってK級、0級、1級、2級の4等級を用途に応じて使います。
機械部品の加工や、検査には1,2級を使います。

用途別に測定具を説明

外側の測定

モノの厚さや円筒形状の外径測定には標準マイクロメータを使います。標準タイプで測れない形状も多くあるため、それらに対応した専用のマイクロメータがあります。

  • 標準マイクロメータ:外側の測定。
  • U字形鋼板マイクロメータ: 鋼板の厚さ測定。
  • 固定ねじマイクロメータ:ねじの有効径の測定。
  • 直進式ブレードマイクロメータ :溝の測定。
  • 片球面、両球面マイクロメータ:測定面が球面。

他にも歯車の測定用や測定物への干渉を抑える特殊な形状のマイクロメータがいくつかあります。

内側の測定

溝の幅や、内径の測定に使われる測定具は以下の通りです。

  • キャリパー型内側マイクロメータ
    • 測定深さが浅い。
    • アッベの原理に反した構造なので測定誤差が生じやすい。
  • 棒型内側マイクロメータ
    • 測定自体は難しい。
    • 正しく測定された場合の高精度。(アッベの原理に従った構造のため)
    • 小径の測定は難しい。
  • 三点マイクロメータ(ホールテスト)
    • 内径専用で、測定時の安定感がある。
    • 測定子の接触範囲により測定値が変動するため、浅い穴はゲージでのチェックが必要。
    • 小径のモノは測定範囲が狭くなる。
  • シリンダーゲージ
    • ダイヤルゲージを取り付けて毎回0セットを行う必要がある。
    • 測定圧、測定位置は一定になるよう設計されている。

個人的にはシリンダーゲージが初心者向けだと思います。0セットに慣れが必要ですが穴の測定自体は簡単です。他の3つのマイクロメータは測定圧や、測定位置にコツが必要で慣れないうちは誤差がやすくなります。

深さの測定

溝の深さや、段差の測定ではデプスゲージを使います。ノギスと同じ構造で深さ測定に特化した形状です。精度がより必要な場合はデプスマイクロメータを使います。

また、高さを測ったり、「けがき」作業に使うハイトゲージがあります。ノギスと同様にバーニヤ目盛やデジタル表示するタイプがあります。
※ケガキとは素材に基準となる正確な線を描く作業です。

平行度、平面度、位置度の測定

すでに説明したダイヤルゲージで測定できない場合はてこ式ダイヤルゲージ(ピックゲージ)を使うと干渉が少なくなります。測定子の回転を針に伝えダイアルで読み取ります。測定面と測定子の角度は平行になると程誤差が少なくなります。測定範囲は狭く、標準タイプで1mm程度です。

実際に挿入して検査する測定具

実際に穴や溝に入れてみるシンプルで確実な測定法です。

  • ブロックゲージ
    • 精密に平行な2面が加工されたブロック。
  • ピンゲージ
    • 栓ゲージともいう。
    • 精密に加工された円筒形状。
  • ねじゲージ
    • 精密に加工されたねじ。
  • リングゲージ
    • 精密に加工された穴のゲージ
    • 内径測定具の基準で使う。

まとめ:【機械加工で使う測定具のまとめ】知っておきたい種類を説明

ノギス:外側、内側、段差の測定ができる。0.01mm単位の測定は難しい。

デプスゲージ:ノギスと同じ構造、深さ測定に特化した形状。

ハイトゲージ:高さの測定や、ケガキ作業にも使う。

マイクロメータ

  • 外側測定用 マイクロメータ
    • 標準マイクロメータ:外側の測定。
    • U字形鋼板マイクロメータ: 鋼板の厚さ測定。
    • 固定ねじマイクロメータ:ねじの有効径の測定。
    • 直進式ブレードマイクロメータ :溝の測定。
    • 片球面、両球面マイクロメータ:測定面が球面。
  • 内側測定用 マイクロメータ
    • キャリパー型内側マイクロメータ:測定深さが浅い。
    • 棒型内側マイクロメータ:小径の測定は難しい。
    • 三点マイクロメータ(ホールテスト):内径専用で比較的安定がある。
  • 深さ測定
    • デプスマイクロメータ:深さの測定

シリンダーゲージ:内径測定用、ダイアルゲージを取り付けて使う。

ダイアルゲージ:直進方向の測定。

てこ式ダイアルゲージ:ダイアルゲージよりコンパクト。

ブロックゲージ:溝の幅測定や他の測定具の校正。

ピンゲージ:栓ゲージともいい、精密に加工された円筒形状。

ねじゲージ:精密に加工されたねじ。

リングゲージ:精密に加工された穴。内径測定具の基準で使う。

いかがでしたか?
マシニングセンタでは最初に説明4つの測定具ノギス、マイクロメータ、ダイアルゲージ、ブロックゲージを主に使うと思います。まずは使い方と特徴をマスターしてみてください。マイクロメータは種類が多いので標準の外側用と内側測定にはシリンダーゲージをお勧めします。

以上で終わりです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。