加工に必要な機械製図の知識【線の種類】をわかりやすく説明

機械加工

機械加工をはじめたばかりの人が、図面を見るといろいろな線が描かれているのに気付くと思います。図面には様々な種類の線が描かれています。線の描き方には決まりがあり、製図をする人は基本的に、その決まりに従って描いています。
今回の記事は

  • 機械製図で用いられる線の種類について知りたい人
  • 線の名称や用途について知りたい人

こんな人に向けて、機械加工歴20年のセドヤがわかりやすく説明します。最後まで読むと図面に描かれている線の意味が理解できるようになり、図面の理解度が上がります。

線の形による分類

線の形は以下の4つです。

  • 実線
  • 破線
  • 一点鎖線
  • 二点鎖線

線の太さは以下の3つです。

  • 細線
  • 太線
  • 極太線

太さの比率は1:2:4です。

線の太さと、種類を組み合わせ用途により使い分けます。

線の種類による用途

線の種類と用途を下の表にまとめました。

線の種類用途による名称用途
太い実線外形線対象物の見える形状を表す
細い実線寸法線寸法記入に用いる
寸法補助線寸法記入のため図形から引き出す
引出線記述、記入などのため引き出す
回転断面線図形内の部分の切り口を
90度回転して表す場合に用いる
破線かくれ線見えない部分の形状を表す
一点鎖線(細)中心線
基準線
基準、中心を表す
ピッチ線図形のピッチを取る基準を表す
一点鎖線(太)特殊指定線特別な加工を施す部分などの
要求事項の適用範囲を表す
二点鎖線想像線①可動する部分を移動した個所に表す
②図示された断面の手前にある部分を表す
③隣接部分を参考に表す
④加工前、加工後の形状を表す
➄仕上げ代を表す
重心線断面の重心を連ねた線を表す
不規則な波形の実線破断線対象物を取り去った境界を表す
一点鎖線と太い実線切断線断面図を書く場合に用いる切断位置を表す
規則的に並べた
細い実線
ハッチング断面図の切り口など、図形の特定の部分を
他と区別するのに用いる

外形線かくれ線は形状を表すための基本的な線です。寸法関係の線は寸法線寸法補助線引出線ですべて細い実線です。その他の中心線想像線破断線ハッチングは形状をより理解しやすくするための線で一点鎖線、二点鎖線、細い実線を使います。また、回転断面線は図形の断面をその場に描く場合に用います。

下の図は具体的な記入例です。

想像線は上の表で説明てある通り、用途が多い線です。
上の図の想像線は「可動する部分を移動した個所に表した例」で、下の左図は「図示された断面の手前にある部分を表した例」と「加工前、加工後の形状を表した例」です。

上の右図は断面図で使う 破断線 の例と 特殊指定線 の例です。

図面で同じ場所に2種類以上の線が重なる場合がありますが、優先順位が線の種類で決まっています。優先順位は以下の順です。

  1. 外形線
  2. かくれ線
  3. 切断線
  4. 中心線
  5. 重心線
  6. 寸法補助線

優先する線種を描きます。

線の種類の設定について

線の種類の用途で説明したように使い分けをしないと理解しにくい図面になり、最悪の場合、部品を作り間違えや、組立ミスをしてしまうこともあります。

最近では cad (製図用のコンピューターソフト)の普及でドラフター(製図用の器具)などを使った手描きの図面を見る機会は少ないですが、cad を使った場合でも、描く人によって鎖線ピッチや太さなどの設定で、出来上がった図面の「見やすさ」は違いがあります。モニター上と印刷した「見え方」にも違いがあることがあります。

経験上、「こんな図面じゃ加工できません(怒)」ということもありましたが、グッと堪えて製図担当者に問い合わせます。私も加工ミスすることがあるので強く言えません…ツライところです。
たんなる愚痴になってしまいましたが、問い合わせなどでコミュニケーションをとるにも線の種類や用途は基本的なことなのできっちり理解しておく必要があると思います。

まとめ:加工に必要な機械製図の知識【線の種類】

  1. 線の形は実線破線一点鎖線二点鎖線の4つ。
  2. 線の太さは細線太線、極太線の3つで比率は1:2:4に決められています。
  3. よく使われる代表的な線種(用途による名称)を挙げると、外形線、かくれ線、寸法線、寸法補助線、引出線、回転断面線、中心線、想像線、破断線、切断線、ハッチングがある。
  4. 図面で同じ場所に2種類以上の線が重なる場合は、優先順位が決まっている。
  5. cadで製図する場合は印刷など出力後の確認をする。(個人的にわかりやすい図面を希望)

いかがでしたか?この記事は機械加工初心者の方を想定しての説明でした。
重ねて書きますが、図面の問い合わせや、同僚に加工の相談するときなど基本的な線種の名称は覚えておくとコミニケションがスムーズになると思います。また、いずれは、治具や工具など簡単な図面を自分で描く機会も出きます。この記事が少しでもお役に立てば嬉しいです。

以上で終わりです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。