今回は穴の内径を正確に測定できるシリンダーゲージについて説明します。
内径測定は3点式、キャリパー型、棒状などのマイクロメータでも測れますが、個人的にはこのシリンダーゲージが一番使いやすく安心して使えます。
- シリンダーゲージの使い方が知りたい。
- シリンダーゲージの0点調整はどうやるの?
- シリンダーゲージでうまく測れない!
そんな人に向けて機械加工歴20年のセドヤが丁寧に説明します。
この記事を最後まで読むとシリンダーゲージの特徴や測定方法について理解できるようになります。
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シリンダーゲージとは
シリンダーゲージとは穴の内径測定に用いられます。
正確な寸法がわかっているゲージを基準に(※マスターゲージ)比較測定をする道具です。シリンダーゲージ本体にダイヤルゲージを取り付けて使います。
※基準のゲージを原器、マスターゲージ又は単にマスターと呼びますが本記事では基準ゲージに統一します。
基準ゲージでダイヤルゲージを0点に合わせ(0点調整)測定物との差を読み取ります。
中心へ導いてくれるガイドがあり、ロッド(又はアンビルともいう)と測定子が接触して2点で測定をおこないます。測定子の可動範囲がダイヤルゲージに反映されそれを読み取ります。測定範囲は同じシリンダーゲージでロッドを交換して調整できます。
シリンダーゲージの使い方
シリンダーゲージ本体にロッド、ダイヤルゲージを取り付けます。ダイヤルゲージの取り付けは自分の見やすい向きにしてください。
穴の測定方法
穴の測定は穴中心(最も広い点)と穴に垂直(最も狭い点)を測定しなければ正確な穴の測定はできません。
シリンダーゲージには案内機能(ガイド)があり穴の中心に自然に導いてくる構造になっています。
したがって一方向の垂直な点を探すだけ測定できます。穴の軸方向に前後させるように回転させ最も狭い点(ダイヤルゲージの値が小さい点)が垂直な点になります。
平面の測定方法
ブロックゲージやマイクロメータで0点調整するときや、溝をシリンダーゲージで測定する場合は少し難しくなります。
平面の測定の場合はガイドが機能しないため誤差が生じやすくなります。
平面の場合は最も狭いところが測定点になるため、ダイヤルゲージの目盛で確認しながらシリンダーゲージを垂直する必要があります。
一度に左右方向、前後方向を垂直にするのはムリなので、一方向ずつ狭い点を探します。左右と前後の2方向の最も狭い点が測定場所です。
※一般的なダイヤルゲージで最も右側(時計回り方向)に動いたときの値が最小値です。
ロッドか測定子のどちらか(自分がやりやすい方)を固定して一方のみを動かすと感覚をつかみやすくなります。
シリンダーゲージの0点調整
目的の寸法の基準ゲージを用意します。リングゲージ、ブロックゲージ、外側マイクロメータなど測定精度により適切な基準ゲージを選んでください。※ブロックゲージを基準ゲージに使うには専用の治具が必要です。
先ほど説明した穴の測定法又は平面の測定方法と同様に最も狭い点を探しダイヤルゲージの0(ゼロ)合わせます。※短針があるダイヤルゲージは目盛も覚えておきます。
シリンダーゲージで測定
0点調整したダイヤルを読み取ります。
基準ゲージの寸法との比較ですから、基準に対して大きいか小さいか間違わないように気をつけてください。
※一般的なダイヤルゲージで0点より右(時計回り)ならマイナス、左(反時計回り)ならプラスです。また、短針がある場合は考慮しなければなりません。
シリンダーゲージの特徴
- 基準ゲージが必要で0点調整の手間がかかります。
- シリンダーゲージは説明した通りガイド機構により内側用マイクロメータでより測定が容易です。同じ径を大量に検査するときは特に便利です。
- シリンダーの長さにもよりますが、深い穴の測定が可能で、底面のある浅い穴は測定できないことがります。
- ダイヤルゲージを使うため、最小単位や短針の有無など仕様は確認しておきましょう。
シリンダーゲージを使うときの注意点
- ダイヤルゲージの短針が付いている一回転以上するダイヤルゲージは勘違いしやすいです。
- シリンダーゲージは基本的には穴の内径測定用です。溝などの平面の測定精度は落ちると考えるべきです。
私の個人的意見ですが、0点調整でマイクロメータを使い、はめ合い公差H7の精度なら目的の精度は確保できます。 - 加工時の機上での測定の場合、視差による誤差や測りにくい体勢の場合は余計な力をシリンダーゲージに使えないよう気を付けましょう。
マイクロメータの種類
測定範囲で区別されることが多いですが、シリンダーの長さが短いタイプや浅い穴の測定ができるタイプもあります。
詳細はメーカーホームページでご確認ください。
まとめ:【シリンダーゲージの使い方】
シリンダーゲージとは
- 穴の内径測定に用いられる比較測定具です。
- 基準ゲージで0点調整をおこないダイヤルゲージで差を読み取ります。
シリンダーゲージの測定方法は穴に垂直に持っていかなければ正確な測定はできません。
- 穴の場合
- ガイドが働くため測定は容易です。
- 平面の場合
- 左右、前後の2方向に分けて垂直点を探すようにすると測定しやすくなります。
シリンダーゲージの特徴
- 基準ゲージが必要で0点調整の手間がかかります。
- 同じ径を大量に検査するときは特に便利です。
- 深い穴の測定が可能で、底面のある浅い穴は測定できないことがります。
シリンダーゲージを使うときの注意点
- 一回転以上するダイヤルゲージは勘違いしやすいです。
- 溝などの平面の測定精度は落ちると考えるべきです。
いかがでした?
シリンダーゲージの使い方、特徴を理解いただけたと思います。
マイクロメータの類より測定の難易度は低いと思います。機会があれば使って見てください。
以上で終わりです。
最後までお読みいただきありがとうございました。