【ダイヤルゲージの使い方】種類や特徴をわかりやすく説明

機械加工

マシニングセンタや、旋盤加工でよく使うダイヤゲージですが、間違った使い方をしている人結構いるんです。

今回はダイヤルゲージの使い方や種類を機械加工歴20年のセドヤがわかりやすく説明します。最後まで読むとダイヤルゲージの一般的な種類と使い方が理解できます。

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ダイヤルゲージとは

ダイヤルゲージとは測定範囲が狭い測定具で、通常は長さを測るというより、基準に対しての差を測るのに使われます。フライス盤や、マシニングセンタ、旋盤、研削盤などの工作機械でワーク(被削材)の測定や、機械部品の検査や組立にも使われます。測定範囲は、最小目盛は用途に応じて多くの種類があります。

測定値をデジタル表示するタイプもあります。

「スピンドル式」と「てこ式」のダイヤルゲージ

ダイヤルゲージの種類は直線方向で測定する「スピンドル式」とてこの原理を利用した「てこ式」があります。

スピンドル式ダイヤゲージ

通常ダイヤルゲージというと、このスピンドル式のことで標準タイプになります。

スピンドルの直線運動を計測する標準的なタイプです。ラックとピニオンで直線距離を回転方向に変換してダイヤルに表示します。てこ式ダイヤルゲージよりストリークを長くできる特徴があります。測定範囲は0.1~10mm程度で測定範囲が狭くなるほど測定精度は高くなります。

測定面に対してスピンドルは垂直に当てます。短針があるダイヤルゲージは長針は1周以上回るので、基準に合わせたときは短針の目盛も必ず覚えておきましょう。私の初心者のころの私の失敗例ですが、2つ並べて平行出しをしたモノがちょうど1mmズレていたことがあります。注意してください。

短針がない精密測定用のスピンドル式ダイアルゲージもあります。他にもダイヤルの目盛に位置や、測定範囲の長さ、測定子(スピンドル)の長さ、測定圧の強さなど多様な種類があります。

てこ式ダイヤルゲージ

てこ式ダイヤルゲージテストインジケータピックゲージとも呼ばれます。スピンドル式では測定ができない穴や溝の測定ができます。

名前の通り「てこの原理」を利用した構造になっています。測定範囲は1mm未満のものが多く標準タイプのダイヤルゲージより干渉の少ないコンパクトな形状です。

測定子の可動方向により目盛の読み取りができない場合もあるので標準の縦タイプの他に横タイプも用意しておくと便利です。

他にもダイヤルの目盛の位置で分類すると垂直タイプ、傾斜タイプ、自在に測定子が回転するタイプもあり、測定子の長さもロングタイプがあります。

注意点としては、測定面と測定子はできる限り平行に当ててください。角度が大きいほど誤差も大きくなります。

ダイヤルゲージのメーカー紹介

細かい製品の特長はメーカーホームページで確認してください。有名3社のリンクを張っておきます。

シンワ測定株式会社

新潟精機株式会社

株式会社ミツトヨ

ダイヤルゲージの使い方

ダイヤルゲージは外枠が回るようになっています。針の位置に目盛を動かして基準を設定して使います。必要に応じて外枠にリミット針で上限値と下限値を設定することもできます。

工作機械での使い方は、ダイヤルゲージをマグネットスタンドに取り付けて使います。平行出しや、芯出し作業によく使います。機械のスケールを利用して穴の位置や、段差や長さの測定をすることもあります。

穴の位置の測定は下の図のようにてこ式ダイヤルゲージを使います。

ダイヤルと機械側の基準を0にして、目的のポイントにダイヤルの目盛が0になるよう移動させて、機械側の座標を読み取ります。正確に測定したい場合はブログラムで位置決めします。

測定物が長くなるとマイクロメータなどの測定具で直接測るのは難しくなります。マシニングセンタでの機上測定ではタッチプローブを使うと便利ですが、持ってない場合や、チョット測りたいときはてこ式ダイヤルゲージが便利です。幅の測定はブロックゲージを使って測ります。

※安全に配慮して作業してください。また、工作機械自体の寸法精度や位置決め精度は製造メーカーにご確認ください。

下の図のようにマシニングセンタの外段取りでも使えます。

サブテーブルや治具用プレートにワークや治具などを平行に取り付けることができます。

定盤で使う場合は、マグネットスタンドや他のダイヤルゲージ用のスタンドに取り付けて使いますが、ハイトゲージに取り付けると高さの調整が簡単で便利です。正確な高さはブロックゲージと比較測定します。平面度、平行度の測定、Ⅴブロックを使って真円度の測定にも使います。

内径測定用のシリンダーゲージはダイヤルゲージを付けて使います。

ダイヤルゲージの取り扱い上の注意点

ダイヤルの目盛は視線の角度により多少ズレて見えます。正面から毎回同じように読む必要があります。

ダイヤルゲージの裏蓋、又は、止め具の弛みに注意してください。僅かな振動でも繰り返すとねじが弛んできます。針の動きがおかしいと思ったらまずチェックしてください。

ダイヤルゲージは落としたり、ぶつけたりしたときは精度の確認を必ずします。また、長く使っていると中の歯車が傷んで、部分的に精度が悪い所がでてきます。針の動きが悪くなったときはまず精度の確認をするようにしましょう。また、切削液や、汚れが可動部につくと動きが悪くなります。

まとめ:【ダイヤルゲージの使い方】種類や特徴をわかりやすく説明

  • ダイヤルゲージとは測定範囲が狭い測定具で、通常は長さを測るというより、基準に対しての差を測るのに使る。
  • ダイヤルゲージには標準タイプの「スピンドル式」と「てこ式」がある。
    • スピンドル式ダイヤルゲージは測定範囲が長くできる。
    • てこ式ダイヤルゲージはスピンドル式では入らない場所の測定ができが、測定子と測定面の角度が大きいほど誤差も大きくなる。
  • ダイヤルゲージの使い方
    • ダイヤルゲージは外枠を回して基準を設定して使う。
    • 工作機械ではマグネットスタンドに取り付けて使うことが多い。平行出し、芯出し、寸法検査に使う。
    • 定盤では、ハイトゲージやスタンドに取り付けて使う。ブロックゲージで高さを比較測定する。
  • ダイヤルゲージの取り扱い上の注意点
    • ダイヤルゲージの裏蓋や止め具のねじの弛みに注意。僅かな振動でも繰り返すとねじが弛んでくる。
    • ダイヤルゲージは落としたり、ぶつけたりしたときは精度の確認を必ず行う。
    • 切削液や、汚れで可動部の動きが悪くなこともある。

いかがでしたか?
「スピンドル式」と「てこ式」のダイヤルゲージの違いや特徴が理解していただけたと思います。工作機械や、検査で使う際の参考にしていただければ幸いです。

以上で終わりです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。