機械加工や検査で使うブロックゲージですが、正しい使い方を知らないままの人が結構多い気がします。
そこで今回は
- ブロックゲージの使い方を教えてもらったことがない。
- リンギング(密着)の方法を知りたい。
そんな悩みや疑問を機械加工歴20年のセドヤが丁寧に説明します。
この記事を最後まで読むと、ブロックゲージの使い方など一般的な知識が身につきます。
※ブロックゲージでは「ゲージブロック」ともいいますが、この記事はブロックゲージで統一してます。
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ブロックゲージとは
ブロックゲージとは、長さの基準となるブロックで形状は直方体です。6面のうち、高精度に加工された平行な2面が測定面として使われます。平行度、平面度、長さ(厚さ)が極めて正確に作られ、摩耗が少ない素材で作られています。
ブロックゲージは複数のブロックを組み合わせることで長さを調節できます。そのためセットが用意されており、112個組、103個組、76個組、47個組などが一般的です。
ブロックゲージの用途と等級
ブロックゲージにはいろいろな用途があります。測定具の長さの基準とする場合は、シリンダーゲージの0合わせや、マイクロメータ、ノギスの点検にも使われます。また、機械部品の寸法検査で溝の測定や、定盤の上で高さ測定の基準に使われたりします。ブロックゲージは用途により適切な等級のモノを使いましょう。
等級 | 用途 | 参考 |
---|---|---|
K | ブロックゲージの校正 研究用 | 超精密 |
0 | 高精度測定機器類の校正 (指示マイクロメータ、電気マイクロメータ) | 精密 |
1 | 測定機器類の校正(マイクロメータ) | 検査用 |
2 | ノギスなどの校正 | 工作用 |
※校正とは測定具の状態をチェックすることです。
自分が普段使っている等級が何か知っていますか?
私が機械加工の寸法検査で使っているブロックゲージは、2級 を使っています。
私の個人的な目安としては機械加工など現場の寸法チェックは 2級。検査部門で使うなら 1級といった感じです 。ちなみに私の勤務先は温度管理されていない工場なので0級、K級は見たこともありません。
ブロックゲージの使い方
ブロックゲージは複数個を組み合わせて測定に必要な長さにします。誤差を防ぐため、できるだけ少ない数にします。小さい桁から使うブロックを決めると効率的です。
例えば、49.98mm を76個組セットでそろえる場合
- 1.48 mm
- 8.5 mm
- 40 mm
の順番で決めていきます。
リンギングの方法
ブロックゲージは2つ以上を組み合わせて使うとき、誤差が生じないようリンギング(密着)させます。
私が最初に教えてもらったのは2つのブロックを「何度も擦ってくっつける」という方法でした。これは間違いです。ムリに擦るとブロックゲージの測定面が摩擦で傷んでしまいます。意外と我流でテキトーに使っている人が多いんです。
リンギングはブロックゲージの厚さにより2つの方法があります。まずは、ブロックゲージをきれいに掃除して、ゴミやほこりは取り除きます。
- リンギングするブロックゲージが両方厚い場合は、十字になるように合わせ、ゆっくりと向きを合わせます。
- 薄いブロックゲージのリンギングは、同じ方向に少し重ねて、ゆっくり合わせていきます。
薄いブロックゲージ同士のリンギングは変形を抑えるため土台となる厚いブロックゲージとリンギングしてから薄いブロックゲージ同士をリンギングさせます。
密着してくると徐々に抵抗が大きくなります。リンギングされたブロックは少し力がかかったぐらいでは取れたりしません。
ブロックゲージの取り扱いの3つの注意点
- ブロックゲージの測定面は高精度に加工されています。ムリに擦って平面を摩耗されたり、必要以上に力をかけると変形や破損の恐れもあります。
- ブロックゲージ同士がすぐ取れるようならブロックゲージの平面度が悪いと考えられます。ブロックゲージ専用の砥石でカエリを取り除けます。オプチカルフラットで平面の状態を確認できますが、問題があるモノは取り替えをお勧めします。
- 錆びる材質のブロックゲージは防錆処置をして収納します。
セラミックスのブロックゲージの特徴
ブロックゲージの材質は鋼とセラミックスが一般的ですが、セラミックスは高価ですが、メリットも多くあります。
- 錆びない
- 耐摩耗性がある
- 経年変化がない
- 磁化がなく、切りくずなどの付着がない
- 密着力が強い
鋼のブロックゲージのメリットとしては鋼の機械部品の測定には熱膨張が同じため、正確な測定ができることが挙げられます。
まとめ:【ブロックゲージの使い方】リンギングの方法や等級
- ブロックゲージとは、高精度に加工された平行な2面を持ち、摩耗が少ない素材で作られている。
- ブロックゲージのセットは、112個組、103個組、76個組、47個組などが一般的。
- ブロックゲージの用途と等級
- K級:ブロックゲージの校正
- 0級:高精度測定機器類の校正
- 1級:測定機器類の校正(マイクロメータ)
- 2級:ノギスなどの校正
- ブロックゲージを使い方
- 誤差を防ぐため、できるだけ少ない数で組み合わせる。
- 小さい桁から使うブロックを決めていくと効率的。
- リンギングの方法
- 両方厚い場合は、十字に重ねて、ゆっくりと向きを揃える。
- 薄いブロックゲージは、同じ方向に少し重ねて、ゆっくりと揃える。
- ブロックゲージの取り扱いの注意点
- 薄いブロックゲージは必要以上に力をかけると変形や破損の恐れがある。
- カエリを取り除く場合はブロックゲージ専用の砥石を使う。
- 錆びる材質の場合は防錆処置をする。
いかがでしたか?
ブロックゲージは測定具の基準となります。単純な作りですが、取り扱いは慎重に‼
リンギングは正しい方法で行えばかなりの密着度になります。ぜひ体感してください。
以上で終わりです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。