オペレータ
今度、アングルヘッドを使って加工する予定があり、購入を考えています。
選び方や使い方について調べているんですが…。
そんなお悩みに、機械加工歴の20年のセドヤがお答えします。
加工する面が多いと、それだけ段取りが増え、手間になります。工程数を減らす目的や、干渉の問題からアングルヘッドを使う必要がある案件もあると思います。
しかし、いざ購入となると高価なモノだけに、失敗は避けたいですね。
この記事を最後まで読むと、アングルヘッドのメーカーや、商品特徴、一般的なプログラミングの作り方を理解できるようなります。
アングルヘッドについて
アングルヘッドとは工具の回転軸の向きを変えるホルダーまたは装置です。
工作機械の装置の一部、または、オプションとして装備できるものや、工具メーカーが発売しているものがあります。
大型の門型マシニングセンタや、横中ぐり盤などにはオプションとしてアングルヘッドがラインナップされていることが多いです。代表的なものに五面加工機があります。
工具メーカーが扱っているアングルヘッドは工作機械の主軸に取り付けるタイプのものです。
今回はこの工具メーカーのものを主に説明します。
アングルヘッドのメーカーを3社の紹介
- 大昭和精機
- MSTコーポレーション
- 日研工作所 ※商品名 アンギュラヘッド
アングルヘッドはどんな機械でも使えるの?
アングルヘッドを使うには位置決めブロックが工作機械についている必要があります。
位置決めブロックは、オプション選択できるもので、主軸の近くについている位置決め用のピンが入るよう溝か穴が加工されています。アングルヘッドの他にはオイルホールホルダーや高速スピンドルホルダーを使うための部品です。場合によっては取り付けるアングルヘッド合わせて作ったり、他の既製品に交換します。
アングルヘッドを取り付ける場合、主軸から位置決めブロックまでの距離が重要になりますが、工作機械により違います。したがって、通常はどの機械でも使い回せるようなものではありません。
アングルヘッドの位置決めピンは、ユーザーで調整でできるタイプとメーカーに依頼するタイプとがあるようです。
アングルヘッドを選ぶときの3つの注意点
- 種類
- 90度のものが使用頻度も高く、多く販売されています。
加工範囲の広いロングタイプ、干渉の少ないコンパクトタイプがあります。 - また、角度も30度、45度など固定タイプと、自在に調整できるユニバーサルタイプがあります。
- 90度のものが使用頻度も高く、多く販売されています。
- 用途
- 簡易的なつくりの低剛性タイプから、フライス切削に耐えれるものまであります。
- 簡易的なつくりの低剛性タイプから、フライス切削に耐えれるものまであります。
- 価格
- アングルヘッド機能や用途により価格が大きく違うので、必要な機能を見極めて過剰な投資にならないよう注意してください。
- 穴加工なら価格的にはMSTのアングルヘッドがお手頃です。
アングルヘッドのプログラミングの3つ方法
※X軸の回転角度をA軸角度、Z軸の回転角度をC軸角度とします。
平面選択を使う場合
(A軸=90°、C軸=0°, 90°, 180°, 270°)
アングルヘッドの傾斜角度90°の場合で、工具の向きがX方向、Y方向の場合はG18、G19の平面選択でプログラミングできます。
詳しくはこちら⇓
【マシニングセンタの平面選択】円弧補間やアングルヘッドの使い方
3次元座標変換を使う場合
※「3次元座標変換」の機能は、オプションです。詳細はNCの仕様をご確認ください。
3次元座標変換が使える場合は、平面選択の変更なく(通常のG17平面のまま)プログラミングできます。
手順も簡単です
- 3次元座標変換で加工面を決める
- 後は通常のG17平面と同じようにプログラムを作れる
- 3次元座標変換のキャンセル
使い方の説明
Gコード | 説明 |
G68 X_ Y_ Z_ I_ J _ K_ R_ | 3次元座標変換 |
G69 | キャンセル |
- アドレスの説明
- X、Y 、Z
基準点(原点)のシフト量で、3次元座標変換中、シフト量分、基準点が変わります。
- I、J、K
回転させたい軸を表します。- I1. J0. K0. → X軸
- I0. J1. K0. → Y軸
- I0. J0. K1. → Z軸
- R
回転させたい角度。
- X、Y 、Z
- 3次元座標変換は2回重ねて使えます
- G68 X0 Y0 Z0 I0 J0 K1. R45. →まず、Z軸を45度回転させる
- G68 X0 Y0 Z0 I1. J0 K0 R90. →次に、X軸を90度回転させる
- 加工のプログラム
- G69 →3次元座標変換のキャンセル
平面選択が使えない角度で、3次元座標変換を使えない場合
A軸が90度のアングルヘッドの場合は2次元の座標変換を使うなど工夫してなるべく複雑な計算を避けるようにはできると思います。
しかし、限界があるため3次元座標変換のオプションの追加をお勧めします。また、マクロプログラムで複雑な計算をさせる方法も考えられます。
マクロについて知りたい方はこちら⇓
NCプログラムのマクロを説明(ファナック編)
まとめ:【アングルヘッド】特徴や選び方とプログラムの注意点
アングルヘッドのメーカーを3社の紹介
アングルヘッドはどんな機械でも使えるの?
位置決めブロックが工作機械についている必要があり、主軸から位置決めブロックまでの距離が重要になります。ユーザー側で調整できるか調べる必要があります。
アングルヘッドを選ぶときの3つの注意点
- 種類は多種多様です。お使いの条件をまとめてから商品を選びましょう。
- 用途は小径の穴加工用から、切削に耐えれるものまであります。
- 価格は高いので、必要な機能を見極めて過剰な投資にならないよう注意してください。
アングルヘッドのプログラムの3つの方法
- 平面選択を使う
- 3次元座標変換を使う(オプション)
- 2次元座標変換やマクロプログラムで自分なりに工夫する(難易度高い)
いかがでしたか?
「アングルヘッド」と聞くと必要以上に拒否反応を示す人もいますが、手作業で加工することや、工程数が増えることを思えば便利な道具です。プログラミングも慣れるまでは難しく感じますが、一度経験すると、楽になると思います。ぜひ使ってみてください。
以上で終わりです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。