マシニングセンタで加工ミスの事例と対策【失敗から学ぶ】

機械加工

ヤバイ、やってしまった…。
加工ミス…。

最悪だ…。

マシニングセンタや旋盤など機械加工している方や、その他のものづくり」をされている人なら、みなさん「ミスった」経験があると思います

私も20年以上、機械加工の仕事をしています。当然、多く加工ミスをしています。今回はその経験や周りで起こったマシニングセンタでの加工ミスの事例を紹介したいと思います。また、ミスった時のメンタルケアも合わせて紹介します。

最後まで読むとよくある加工ミスとその対策が理解でき、結果的に加工ミスを減らせることができます。また、もし加工ミスをしても引きずらくて済む方法がわかります。

なぜ加工ミスしてしまうのか?

「ヒューマンエラー」という言葉を聞いたことがあると思います。「人的ミス」という意味です。
機械は故障するまで忠実、正確に仕事をしますが

  • 人はミスをします

ですから

  • ミスをしないためのルール(マニュアル)が必要です
  • ルールを破ったときミスや事故が起こります

車の運転なら交通規則(ル―ル)に従わないとき、事故が起こりやすくなります。みんなが交通規則を守れば、事故は限りなく0に近くなるはずです。

加工ミスをしたときは、ルールを破ったか、ルールを決めていないかのどちらかです。

  • ミスや失敗をしたときは原因を特定して対策を考え、それをルールにしましょう。
  • ルールを守ってミスをしたのなら、もう一度ルール(対策)を見直しましょう。

マシニングセンタでの加工ミスの6つの事例と対策

勘違いで加工ミス

先入観や思い込みの勘違いは個人的には最も多いミスだと思います。

  • 加工原点の入力間違い
  • ワークの取り付け方向
  • 図面の見落とし

単純なミスで「なぜ気付かなかった」と情けなくなってしまいます。

対策としては指差し呼称の実施。
「○○ヨシ!」
加工原点は自動心出し機能を使う。手動の場合は、幅(2点)をチェックする。
ワークの取り付けは治具を反対にセットできないようにする。
図面の見落としの対策は図面にチェックを入れる。
チェックシートを作り、動作確認の記入をする。

プログラムミス

工具長の補正番号を間違えて衝突させることがいまだに年に1,2回あります。工具の位置決め後はスケールで確認しましょう。また、いきなり加工して間違えることもあるので、シミュレーションソフトを使うか、空運転でチェックしましょう。

ワークが動いた

チャッキングが弱い、または、過剰な負荷でワークが動くこともあります。対策は上からと横からの2方向からクランプすると強くなります。チャッキングに不安がある場合はダイアルゲージを当てておき、目視で確認できるようにします。

途中起動で加工ミス

休憩前にドライランでチェックして休憩後ドライランを入れたままスタートしてまい「ドン」。
私のトラウマです。メタルソーが割れてガラスが割れる様な音がしたのを覚えています。

対策としては、区切りが良いところまでは加工する。または、わかりやすいメモや札を用意して使う。

公差はずれ

ボーリング穴の公差をはずしてしまうこともあります。試し削りは必ず行い、仕上げ代が変わると仕上がり径が変化することもあるため、必要に応じて中仕上げを入れましょう。

予想以上に曲がった

長尺もので削ると曲がり(歪)が予想以上の場合があります。
考えられる原因は、素材の応力で熱処理(焼鈍)で応力を取り除けます。

熱処理についてはこちら⇓
鋼の熱処理の基礎(種類と記号を紹介)

薄くなると曲がりも大きくなる傾向があります。削り代がなくならないよう、最初は曲がりの量を確認するため少し削ってみましょう。曲がりが大きいようなら両面を少しずつ何度も削って厚さを仕上げていきます。

同じミスを繰り返さない2つ方法

私の個人的な感覚ですが、同じミスを繰り返さない人は多くはいません。私も同じようなミスをしますし、そのたび反省して、「もう同じ失敗を繰り返さない」と心に誓います。そして忘れたころにミスをします。

それは「ルールを破ったときミスが起こる」という当たり前の現象です。
私が大切だと感じているのは、感情や、体調に左右されない習慣を身に付けることです。

チェックの習慣をつける

習慣が定着するまで66日かかるそうです。脳は大きな変化を嫌うので小さいことから始めましょう。
例えば「確認した図面寸法に赤鉛筆でチェックする」くらいが良いと思います。

自分なりの持続可能なシンプルな方法(ルール)で良いので続ける(守る)ことが大切です。

失敗ノートを作る

加工ミスをした場合、品質管理に力を入れている会社なら「不適合報告書」を提出すると思います。それを自分用にまとめ自己成長につなげるツールにします。

  • 考えられるミスの原因と対策
  • これからどう行動べきか
  • その時の自分の感想(気付き)

などを書きます。
これも習慣にすれば多くの学びを得ることができると思います。

ミスを引きずってしまう人の3つの対処法

他人に話す

他人に話すとストレスの緩和効果があります。手軽で気分転換にもなりますね。

好きなことをする

夢中になれることをして悩みから距離をとります。時間を置くことで気にならなくなります。

ベネフィットファインディング

直訳で利益を見つけるという意味ですが
ネガティブなことに、ポジティブな一面を見出すことで、マイナスのはずのストレスがプラスのモチベーションになるんです。

「加工ミスしたけど、今回の学びで自己成長できる」

と思えれば、原因と対策を自分なりに特定して行動を起こすエネルギーになるわけです。

まとめ:マシニングセンタでの加工ミス

まず、前提として「人はミスをする」ことを理解しておく必要があります。
だから、ルール(マニュアル)が必要なのです。

マシニングセンタでの加工ミスの6つの事例と対策

  1. 勘違いで加工ミス
    • 対策としては指差し呼称の実施。「○○ヨシ!」
  2. プログラムミス
    • シミュレーションソフトや、空運転でチェック。
  3. ワークが動いた
    • 上からと横からの2方向からクランプする。
    • チャッキングに不安がある場合はダイアルゲージを当てて確認できるようにする。
  4. 途中起動で加工ミス
    • 区切りが良いところまでは加工する。
    • わかりやすいメモや札を用意して使う。
  5. 交差はずれ
    • 試し削りは必ず行う。
  6. 予想以上に曲がった
    • 最初は曲がりの量を確認するため少し削ってみる。

同じミスを繰り返さない2つ方法

  1. チェックの習慣をつける。
    • 自分なりの持続できるシンプルな方法で良いので2カ月続けてみる。
  2. 失敗ノートを作る。

ミスを引きずってしまう人の3つの対処法

  • 他人に話す。
  • 好きなことをする。
  • ベネフィットファインディング。

いかがでしたか?
今回は加工ミスについて取り上げましたが、機械加工でミスがないのは当たり前と思われがちですが、実際は結構あります。ミスしないよう過剰な対策をすると生産性が上がらず、経営を圧迫します。
ちょうどいい塩梅を探さないといけません。

もし、失敗やミスをして悩んでいるなら、原因から対策をたてて実行してください。
まず「2カ月」です

以上で終わりです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。