今回はめねじ加工で使うタップ工具についての記事です。頻繁に使う工具で折れると面倒なので、適切な使い方が求められます。
タップの基礎知識
タップを使う場合はサイズやピッチはもちろんですが、食付きや精度も確認して使ってください。
ピッチ
ピッチはねじ山の間隔です。
通常は並目ねじですが細目ねじもあります。
食付き
食付きはタップが下穴に対して真っ直ぐ入りやすくする働きがあり、切削抵抗を低減させる役割もあります。タップの先端のテーパー部分で不完全なねじになります。
指定されたねじの深さを確保するには、食付き長さを余分に深く加工します。
食い付き長さは山数であらわされます。
食付き長さ=食付き山数*ピッチ
タップ加工深さ = めねじ深さ + 食付き長さ
下穴が深く加工できない場合はエンドミルや、フラットドリルなどで底を平らに加工したり、食付きの小さいタップで加工をします。
精度
めねじの精度はJISに規格があり、5H (精密)、6H(中)、7H(粗)の3つの等級があります。
タップの精度規格は多くのメーカーで独自に定めています。
タップメーカーのOSGさんの例で説明すると、独自の「OH精度方式」を採用しています。OH1~OH6までタップ精度が定められていてユーザーの細かい選定が可能です。また、わかりやすくするためJISの6H級のめねじ加工推奨タップにstanderd(スタンダード)の略の「STD」と表記してあります。(オーバーサイズは「STD+1」)
サイズ、ピッチ、食付きが同じでも精度が違うものもあります。精度等級も確認して使いましょう。
タップの取り付け
タップ工具のシャンク部分は四角になっていて規格化されています。
工作機械でのタップ加工は、同期タップ機能がついている場合は通常のホルダーでタップ工具を掴んで加工できます。比較的加工負荷が小さいとき有効になります。
加工負荷が大きい場合や同期タップができない機械の場合は「タッパー」と呼ばれる伸び縮みするタップ専用のホルダーを使います。一定以上の負荷がかかると空回りして伸縮することによりタップが折れないような構造になっています。普段からタップの取り換えが多い場合はタッパーが便利です。取り換えが簡単で工具長の変化も問題ない程度です。
タップの種類
タップは種類によって違った特徴があります。
ハンドタップ
名前の通り、手で加工するタップですが、機械でも加工できます。
ハンドタップは溝が真っ直ぐで刃先強度が強いのが特徴です。止まり穴でも貫通穴でも加工できます。切りくずは細かく分断されやすいですが排出性が悪いです。
従来のハンドタップには1番、2番、3番の3つの種類があります。
- 1番タップは食付きが 9山 で、切削抵抗が少なく、下穴に垂直に立てやすくなっています。
- 2番タップは食付きが 5山 で、1番タップより切削抵抗を感じます。
- 3番タップは食付きが 1.5山 で、止まり穴で奥までねじの有効深さが必要なとき使います。
画像で見てわかるように1番から順に食付き部の長さが短くなっています。タップハンドルなどで手でタップを立てるとき1~3番の順番でタップ立てをします。
ポイントタップ
ポイントタップは「ガンタップ」とも呼ばれ、貫通穴の専用のタップです。
タップが食付いた状態で逆回転させるときに折れやすいため、完全に貫通させる必要があります。止まり穴には使えません。
溝は真っ直ぐですが先端が斜めに切り込んであり、切りくずが加工方向へつながり排出されます。
折れにくいタップで、めねじ精度は安定しています。また、切削速度は高く設定できます。
スパイラルタップ
スパイラルタップは止まり穴に使いますが、貫通穴でも使えます。
切りくずが手前側に排出されるように溝がねじれています。切れ味が良く食付きやすいタップですが、切りくずがタップ自体に絡まりやすくなります。めねじ有効径は大きくなりやすく、刃先強度が弱いのが特徴です。ねじれが強いと切れ味は増しますが工具の剛性は落ちます。
転造タップ
溝なしタップ、盛り上げタップ、ロールタップとも呼ばれます。
切削加工ではなく塑性加工でねじ山を作るので切りくずは出ません。めねじ精度は安定し、タップも折れずらく、高速でのタップ加工が可能です。
鋳鉄には使えず、展延性のよい材料でないと加工できません。
下穴径は通常の切削タップより大きくなります。塑性加工でねじ山を盛り上げるため下穴が大きいと肉が足らず、逆に下穴が小さいと肉が余ってしまいます。ちょうどいい大きさの下穴でないと問題が起こる訳です。したがって、安定した下穴精度が必要になります。
例を挙げると、M10(並目ピッチ1.5)を転造タップで加工する場合、下穴をφ9.24±0.05に加工する必要があります。普通のハイスのドリルではバラツキがでるため、超硬ドリルやエンドミルやボーリングなど使って加工します。
その他のめねじ加工工具 スレッドミル
スレットミルはヘリカル加工でめねじ加工する工具で、XYZの同時3軸制御でヘリカル補間ができるNC機で使います。
タップに比べて切削抵抗を大幅に低減でき、穴の底まで完全なめねじ加工ができます。
タップの種類のまとめ
タップ加工の時はピッチ、食付き、精度等級を確認して使ってください。
タップの種類は以下の4つです。
ハンドタップ
- 刃先強度が高い。
- 切りくずは細かく分断されやすい。
- 溝が真っ直ぐ。
- 止まり穴、貫通穴ともに可能。
スパイラルタップ
- 刃先強度は低いか、切れ味が良い。
- 切りくずは手前に排出され、タップに巻き付きやすい。
- 溝はねじれている。
- 止まり穴用。貫通穴も加工は可能。
ポイントタップ
- 折れにくいタップ。
- 切りくずは進行方向に排出さる。
- 溝は真っ直ぐで刃先に切り込みが入っている。
- スパイラル、ハンドタップより切削速度を上げて加工できる。
- 貫通穴専用。
転造タップ
- 折れにくい。
- 塑性加工なので切りくずはでない。
- 高速加工ができる。
- 下穴の管理が難しい。
- 止まり穴、貫通穴ともに可能。
タップの他にはスレッドミルという工具でもめねじ加工ができます。
スレッドミル
- ヘリカル補間ができるNC機で使用する工具。
- 不完全ねじ部(食付き)がない。
- 切削抵抗を低減できる。
いかがでしたか?
タップにはいろいろな種類や加工方法がありますね。
最後まで読んでいただきありがとうございます。